2010年 09月 30日
お金の話③~相続の話~
その間にファイナンシャルプランナーの試験を受けたり、弁護士さんと一緒にお客様の相談を聞いたりしてきました。
その中で一番大変なことは、「相続」だと実感しています。
「相続」は時には争い事にもなり「争続」とも言われているからです。
どれだけ大変なのかを、実際にあったお話を紹介していこうと思います。
お客様を仮にご主人をAさん、奥様をBさんとします。
50代で再婚同士のご夫婦でした。
Aさんにはお子さんがいません。
Bさんにはお嬢さんが2人いますが、もう成人されて所帯を持っていたので「養子縁組」をせず暮らしていました。
そのAさんが職場で心筋梗塞で倒れてしまい、他界されてしまいました。
葬儀が済んだ途端に色んなところから電話がかかってきます。
銀行からは「マンション」のことで処理をすすめてくださいと言われます。
クレジット会社からは「一括返済」の請求の電話がきます。
病院には医療費を支払い、会社にも健康保険や厚生年金の手続きをお願いしないとなりません。
やることがいっぱいです。
そして、マンションの名義、銀行に預けている定期預金の解約の段階になって、
「相続人の了承」がいることに気がつきました。
ご夫婦2人で仲良く暮らしていましたが、配偶者が100%相続できないのです。
このご夫婦の場合は、Bさんにお嬢さんが2人いるとはいっても「養子縁組」をしなかったのでAさんの実子とは”法律上”みなされないのです。
どんなに円満に仲良くしていても法律上で血縁関係がなければ相続人になれません。
この場合は、子供のいない夫婦の相続という形になります。
Aさんのご両親はどちらも他界されていないので、
Bさんの相続分が4分の3、Aさんの兄弟が4分の1になります。
Bさんはビックリしました。
「なんで夫婦で築きあげたものを何も関係ない兄弟に分けないといけないわけ?」となるわけです。
そう思いますよね。
でも、法律上、遺言がない場合は法定割合で分けるしかなくなります。
また、Aさんには3人の兄弟がいたのですがそのうちの1人がすでに他界、その場合は亡くなった兄弟の子供が相続人になります。
この方の場合、離婚もされていたのでその別れた子供(2人)を探すのも大変でした。
こうなった場合、果たしてAさんの兄弟は本当に3人なのか?という問題も出てきます。
「はら戸籍」といって、祖父母の代まで戸籍をとって「隠し子」がいないかまで調べる必要が出てくるのです。
実際にこういったケースで「え?他にも兄弟がいるの?」となった方もいます。
家族には全く内緒で外に子供を作り認知をしているケースもあります。
それを調べるのは素人レベルではなもう無理なので弁護士さんにお願いするしかなくなります。
大切な人が亡くなった悲しみから一転して、途方もない作業、それにかかる費用に今度は悲しむことになるのです。
相続が発生してからマンション、定期預金をどうするかと配偶者の方のところには電話が殺到します。
でも、どうにしかしたくても
相続人全員の証明と実印が必要になってくるので、一人で勝手にはなにも出来ません。
全員に承諾を得て、書類を取り揃えないと住んでいる場所でさえいつまでたっても自分のものになりません。
このBさんの場合は、もめています。
1年近くたちますが、4分の1のうちのさらに3分の1の遺産がほしいとお姉さんが1人だけ相続放棄を拒否しているので解決していないのです。
もちろん弁護士さんに相談して和解出来るように話をしてもらっています。
そのお姉さんがほしいと言っている金額も特別に多額ではありません。
でも、「人はお金で変わる」こともあるわけです。
どんなにいい人でもお金が自分に入ってくるかもしれないと思うと変われてしまうのです。
一番このお姉さんがすぐにサインをしてくれるとBさんは思っていたそうです。
でも違いました。
他人の気持ちはコントロールも出来ないし、わからないのです。
こういうお話をすると大半の人は「うちは大丈夫!みんな仲がいいから!」と言います。
でも、そう思っていた方のところで、こういうもめ事が実際に起こるのをみてきた私は「絶対はない!」と強く思うのです。
そして「他人が口を出す」ことでもめるケースも多くなります。
血縁関係にある者は「もらわなくてもいい」と思っていたも、そのパートナーや友達が「もらわないと損だよ」とか「よくしてあげてたんだからもらって当然よ」などなど・・・口を挟むのです。
「大丈夫!」と思っているのは自分だけかもしれないと、疑ってかかることがまずは一番大事です。
弁護士の先生は、もめないためには「遺言」がすごく重要だとおっしゃいます。
私も特にお子さんのいないご夫婦や独身の方には、遺言をすすめています。
資産も銀行に預金を集中させない、手元にも置いておく(銀行は相続を知った時に預金がおろせなくなる凍結をします)、固有の権利である生命保険を活用することもすすめています。
「相続」が「争続」になるのも辛いですが、途方もない手続きの作業も本当に大変です。
財産がないからいいとかではなく
本当に大変なのです。
我家もPAPAが11月で50歳です。
私も40過ぎました。
来年の1月の結婚記念日からででも、お互いに「エンディングノート」を書いて交換しようか?と言っています。
そして、相続、お金のことだけではなく、延命治療はどうするか臓器提供はどうるか、どんな葬儀にしてほしいかなどの自分の最後をどうするかという希望も明確にしておくと残された家族は助かります。
意思表示と、もめ事を残さないこと、とっても大切です。
この機会にちょっとだけでも考えてみませんか?
次回も違うケースを紹介します。
by best-bplace
| 2010-09-30 09:55