2010年 10月 02日
お金の話④~相続の話Ⅱ~
実際に私が関わったお話です。
あるご夫婦が交通事故で一緒に亡くなってしまいました。
お子さんのいないご夫婦でした。
私はこのご夫婦の相続の「遺産分割協議」に立ち合う仕事をさせて頂きました。
ご夫婦の住んでいたマンションで両方のご両親が揃い、弁護士さんも揃い、残ったマンション、生命保険金、などなどをどうするかの話合いでした。
なんで「遺産分割協議」の話し合いをしなくちゃいけないかというと、奥さんのご両親にしか相続権がなかったからです。
え?
2人のご両親と半分こじゃないの?と思いますよね。
実は、このご夫婦、同じ日に亡くなりましたが奥様の方が後から亡くなったんです。
同じ日だけど「死亡推定時刻」が違ったんです。
ご主人が先に息を引き取り、その瞬間に奥様が危篤状態であっても相続人になります。
そしてその奥様が亡くなったので、その瞬間にご主人のご両親は赤の他人なので相続も何も関係なくなっちゃうんです。
これは笑い話でもなんでもなく、実際に多くあることです。
マンション、保険金、預貯金や退職金がけっこうな額、あったのでご主人のご両親は面白くありません。
生前、息子夫婦にどれだけよくしてやったとか弁護士さんに相談したようなのです。
赤の他人になってしまったので、相続権はないのですが、奥さんのご両親が「もめてもいやだ」と思い、分割協議をすることになったのです。
だいたい半分づつ分けておさまったと記憶しています。
同じ日に一緒に亡くなっても「時間」によっては大変なことになるということです。
そして、この方の件でかかわっていたときにもう一つビックリしたことがありました。
それは、”息子さんの友人”だという人物がやってきて”息子さんにお金を貸していた。死なれてはお金も戻って来ないので自分の生活が大変だ”という申し出が多くあったのです。
実際、亡くなった方が本当にお金を借りていたかはわかりません。
借用書もなく「口約束で貸した」と言われ、ご両親は言われるままにお金を払っていました。
でも、味をしめて「僕の友人にも貸していたようだ」と友人がいっぱい出てくるのです。
その方は、遺産で大金を手にしたからなのか、しっかり相談出来る方がいなかったのかわかりませんが100万単位のお金を支払ったそうです。
葬儀でバタバタしていたり、相続の手続きでバタバタしているとき、冷静な判断が出来なくなることが多々あるようです。
そういう時には絶対に弁護士さんに相談することが大切です。
弁護士さんの費用は一見高いと感じるかもしれません。
でも、借りたと言張る人への対処をしてもらって100万単位のお金を払わずに済むなら費用がもし、10万、20万とかかっても損ではないし、自分で対応するともっとつけこまれるものも大丈夫になります。
前回書いた、「戸籍の調査」もそうですが、ただでさえ大変な時に更に大変な思いをする必要はないのです。
円満に、自分にストレスが少なくて済むためには、家族にちゃんと現金を残してもらう、遺言を書いてもらう、日頃から話合えたらいいですよね?
また、近年、離婚・再婚は身近な物になっています。
その分、相続で大変になるケースも出てきます。
離婚した男性がその後、再婚もせずに亡くなった場合、前の奥さんとの間に子供がいたら、その子供が相続人になります。
(男性が再婚して配偶者がいるなどの場合は話は別です)
男性に兄弟がいても、兄弟よりも実子の方が相続する権利は上になります。
子供がまだ小さくて訳がわからなくても、別れた奥さんが「遺産はこの子にほしいわ」となると、もう別れた嫁のことなんか忘れたい、大嫌いだと思っていたご両親は面白くない思いをすることになります。
お子さんのいない家庭、独身の方は、特に遺言が必要です。
そして、最後に、「受取人変更」について。
離婚した場合、生命保険の「受取人」は基本的にはすぐ変更します。
でも、面倒で変更しないケースも多々あります。
これも実際にあった話ですが、離婚した男性が自分の母親に受取人を変更しようと保険会社から書類を取り寄せていました。
でも忙しくなかなか記入出来ずにいました。
そして、勤務中に亡くなってしまいました。
この場合は、生命保険は固有の財産なので別れた奥さんが受取ることになります。
「手続きしようとしてたのに!」と男性のお母さんは納得出来ません。
「申し出」をした日から権利を発生させてほしいと懇願されたそうです。
でも、法律で決まっていることは「情け」ではどうにも出来ません。
「ちょっとのこと」「うっかりなこと」で大きなことに発展してしまうのだと痛感しました。
1年に1度でも、保険の名義や家族間についての不安事がないかなど、チェックすることをおすすめします。
by best-bplace
| 2010-10-02 20:11