問題の解決能力

 週末に飛び込んできたニュースに市内の中学校で2年生の女子生徒が飛びおり自殺したというのがありました。
 我家には縁はないけど、偏差値の高い高校に進学を希望する場合は通わせたい中学校に入っている学校です。

 ニュースはこちらは


 実はこのニュースを見て驚いたのは、ゆずちゃんが通っていた中学の校長が今、この学校の校長で、記者会見に出て話をしていたことでした。
 きっと、校長先生にすると、普通の中学からこの学校への転勤は”栄転”だったはず。
 そして、進学率の高い偏差値の高い子が多い学校できっとこんな事件が起こるとは思ってなかったと勝手に思います。

 だけど、私、この校長だったらいつかこうなるって思っていたんです。

 何故なら、問題の解決能力がゼロだから。
 逆に悪化させるから。


 ゆずちゃんは中学では規律をキッチリ守り真面目に学校に行っていました。
 スカートの丈も、靴下もピシっと履いて、でも「疲れないのかな?」って心配するほどでした。
 ちょっと他の女子生徒と自分はどこか違うと漠然と思いながら毎日を過ごしていたようです。
 皆勤賞で学校に行っていたのに、3学期プッツンと学校に行けなくなりました。
 大きなイジメがあったわけではありません。
 細かいことを言えば、仲良くしていた友達の何気ない一言に傷ついたとかはもちろんあります。
 でもそれを理由に解決を求めても、根本のゆずちゃんの抱えている問題の解決にはなりません。

 すぐに学校に相談に行きたいと担任に言いました。
 病院の診断書も持って、医師のアドバイスも持って。

 でも学校に行くと、校長室に通され、校長・教頭・担任と3人が揃っています。
 私はまずは担任とじっくり話がしたかったのに。
 面食らって、思っている事の半分も言えませんでした。

 病院で発達障害の診断を受けたこと、学習障害少しあるので早いテンポで指示などがあると理解しにくいことなどを伝えて、どうかそこに支援をしてほしいとお願いしました。

 でも返ってきた答えは

 「お嬢さんは真面目で優しくてとっても素晴らしい子です。そういう子が学校にこれないはずがありません。」と言う言葉。 
 言ったのは校長です。

 校長先生、そんなに毎日ゆずちゃんのこと見ているのでしょうか?
 接しているんでしょうか?

 担任からの評価、成績、生活態度、書類で見ればゆずちゃんはそういう子なんでしょう。
 だけど、それで本人が苦しんでいること、悩んでいること、それは聞かなきゃわからないじゃですか。

 私は一回目でガッカリして学校をあとにしました。

 担任はきっと余計なことは言うなと指示されていたんだと思います。
 連絡がくるのは「毎日お休みの電話は大変でしょうからまとめて休むっていう言い方でもいいですよ」とかそういうことばかり。
 たまに珍しく電話がきても、「仲の良さそうな子に書類を持たせていいですか?」とか。
 
 私は対応にガッカリしていたので、きっとこの学校にゆずちゃんが戻るのは無理だろうと早々に見切りをつけて市内の特別支援学級や転校できそうな学校を探しました。
 お医者さんの方がよっぽどあてになりました。
 
 それでも何度か話がしたいとうので、パパと一緒に学校にも行きました。
 その度に校長はどれだけゆずちゃんが素晴らしい子かと熱弁します。
 挙句の果てには「学校にこれないようにしているのはお母さんじゃないですか?」といい、「自閉症だっていうけど、僕が見てきた自閉症の子は窓から飛び降りたりしていました。お嬢さんは違うでしょ!」とか「僕は発達障害のことは詳しく知ってますがお嬢さんは絶対に違いますよ!」と言います。

 お前は医者か?と思うほど(笑)

 もう最後は笑うしかありませんでした。

 ゆずちゃんとは何度も話をして、色々見学して、本人が納得する場所を探しました。
 最終的にはお世話になることになった特別支援学級のある学校の校長が、このわからずやの校長に話をつけてくれて転校出来ることになったんです。
 だけど、最後まで「転校するような子じゃない」といって書類も渋られました。
 これって、ゆずちゃんを想ってじゃなく、自分の立場しか考えてないってことですよね。

 そして、この時期、転校したのはゆずちゃんだけじゃなく、私は知ってる限りでも15名以上いるんです。
 そのうちの4名近くが同じ特別支援学級のある学校に転校しました。
 遠くの学校を選んで移った子もいます。
 中には男子にイジメを受けていた女の子もいたし、多動で障害度が重いのを理解されずにみんなに嫌われるような形で転校した子もいます。
 逆に明らかに知的障害があるのに放置されて入学し、途中で先生がギブアップして特別支援学級に行ってもらった子もいました。

 お粗末だったんです。

 そして受験の時も、見極めが甘かったのか公立に何人も落ちるという事態にもなったそうです。
 「こんなに落ちるのはおかしい。ちゃんと見極めていたのか?」とあとで問題になったそうです。

 だけど、新聞沙汰になることもなく、大きな問題として取り扱われることもなく、外から見るとこの校長はきっと素晴らしい校長だったんでしょう。
 現在の学校に栄転だったのだと思います。
 なのに今回の事件。

 自殺した女の子は12枚も便箋遺書を書いていたといいます。
 どれだけの想いだったんでしょう。
 記者会見では直前のイジメの調査では全くなにもなかったと言っていました。
 でも、調査なんかしなくてもイジメは雰囲気でわかるはずなんです。
 偏差値の高い子の集団だから隠すのがうまかったと言えばそうかもですが、でも見ていて「おかしいな?」って思う場面が全くないとは私は思えません。
 
 全く知らない学校、知らない人の話だけれども悔しくて仕方がありません。

 勉強が出来るとかできないとかじゃなくて、スポーツが出来るとか芸術性があるとかじゃなくって、な~んにもなくっても「かけがえないの命」なんだってことを学校では伝えてほしいなと思います。
 どんなにいやなことがあっても「自分をしっかり守る」ということが大事なんだと教えてほしいなと思います。

 私が大切にしていて、何度も何度も読んでいる本にいじめをなくす親子関係(斎藤学)があります。

 その中に親がしっかりやることの中に

 「親は、わが子が自分の欲望を第一に考えて生きていくように、自分の身を守るようにする、そういう教育、育て方をしなければいけない。」

 「問題を起こさない従順ないい子であると喜びすぎてはいけない」

 とあります。

 辛かったらそこから逃げることも出来る、人間関係において何か起こった時は「自分だけの問題じゃないかもしれない」と思える事も必要だと教える。

 自分だけがガマンすればいい、自分だけが悪いんだ・・・そう思ったら人は生きていけなくなります。
 生きていることが大事なんだってことを日々伝えていくことが大事。

 こんなに陰湿な嫉妬やイジメがあるのは日本ぐらいだとよく聞きます。
 
 斎藤先生はパワーゲーム、攻撃と支配、順位づけは実は家庭の中で起こっている、家庭の中で起きている事は実は外の世界でも起きるのだと書いています。
 この本はもう1996年にお話をされた講演録が本になったものです。
 それから14年もたっているのに、良くなるどころから悪くなる一方。

 まずは大人が問題が小さいうちに解決する能力を持つこと、人の痛みに気づけるようになること、「自分の仕事や立場に責任をもってまっとうすること」が必要なんじゃないかなと思います。

 長い人生において中学、高校の期間は鼻クソみたいな時間。
 社会に出てからの長い人生の時間を楽しんで生きていけるように・・・自分も色々模索しながらですが自分の子供にも、近所のちびっこちゃんにも何か出来たらいいなと思います。

 自殺した女の子のご両親は問題をうやむやにせず、きっちり調査してほしいとお願いしているそうです。
 どうか、きちんと問題が明るみに出て、二度とこういう悲しいことが起こらないようにと願うばかりです。
by best-bplace | 2010-11-24 10:52